今山 修平先生
今山修平クリニック&ラボ
[皮膚科/アレルギー科]
院長 今山 修平先生
前職: 独立行政法人
国立病院機構
九州医療センター
皮膚科 アレルギー科 医長
「毛」は、(1)環境変化を認識するための「感覚器」であり、(2)同時に体温や湿度を維持する「外套」でもあります。わずかな気配が判るのは、空気が 「うぶ毛」を動かすからです。ですから動物にとって「毛」は非常に重要であり、よほどの病気でないかぎり脱毛することはありません。
ヒトの大部分は、衣類を着ることで体表面を覆いますので「感覚器」の役割も「外套」の役割も果たしません。それでも頭と顔と手足は露出していますから、 その部分の髪・眉・睫・髭などは動物と類似の機能を持つと思われます。しかし「髪」の生えた動物はいません。衣類で覆われている「体毛」の機能に至っては ほとんど判っていません。
そのような「毛」が、部分的に脱けるという事態に遭遇した人は「毛」が果していた役割を、あるいは抜けると同時に起きた何らかの変化を認識できる可能性 があります。身体に起きた如何なる変化も担当医に伝えて下さい。詳細であればあるほど良い。そのことによって初めて人類は、ヒトにおける「毛」の役割の手 掛りを得ると期待されます。
生体は意味のないことをすることはありません。一見意味なくみえるのは私どもが理解できないからです。「胃」も「筋肉」も「脳」も痛みを発生して安静を 求めることはありますが、かゆくなることはありません。掻いて物理的に除去できる「皮膚」と「粘膜」だけが、かゆみという感覚を発生させます。一時的に脱 ける「毛」が逆に、本来の機能を浮彫りにする可能性があるのです。
絶対に生やしたい場合は免疫抑制剤などにより一時的に発毛させることは可能です。しかし治療には克服しなければならな問題があります。ひとつは副作用の 問題であり、他方は(現時点では多くの症例で)治療を止めると抜けてしまうという薬理作用です。前項の貢献によって人類が「毛」の機能と脱毛の機序を解明 できれば副作用のない治療ができるはずです。
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- 1969-75年 九州大学医学部
- 1976-80年 九州大学大学院医学研究科(解剖学第一講座)大学院
- 1986-88年 エール大学皮膚科(Yale University)
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- 1981年 医学博士
- 1988年 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 1998年 日本アレルギー学会認定医
- 2005年 日本アレルギー学会指導医